Tristan & Isolde

ロック・バー イゾルデ|isolde

トリスタンとイゾルデ

ビアズリー作トリスタンとイゾルデ

「イゾルデ」は,有限会社トリスタンが経営しています。
店名、社名の元となっている「トリスタンとイゾルデ」のストーリーとは。

「トリスタンとイゾルデ」はケルト民話に端を発していると言われています。

イゾルデがコーンウォールのマルク王の妃となる事が約定され、トリスタンに導かれアイルランドを出港する前夜、イゾルデの母アイルランドの王妃は、一緒に飲んだ者が永遠に別れることがなく愛し続ける、という媚薬を、婚礼の夜に飲ませるよう侍女に託した。これを、トリスタンとイゾルデは誤って船上で飲んでしまい運命の輪が狂ってしまう…。

優れた騎士トリスタンの活躍、媚薬による強烈な愛、逃避行、また密会、そして放浪、嫉妬、死。

ヨーロッパ中世最大のこの恋物語は、世の掟も理非分別も超越して愛しあう”情熱恋愛の神話”として人々の心に深くやきつき、西欧人の恋愛観の形成に大きく影響を与え、今も昔も人々の心をとらえます。

皆さんもぜひ秘薬を探しにご来店ください!

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トリスタンとイゾルデ

生まれてすぐ両親を失った悲運の王子トリスタンは、叔父であるコーンウォールのマルク王ロアールのもとで勇敢な騎士として育つ。
コーンウォールはアイルランドからの長年にわたる搾取に苦しんでいた。
アイランドからの貢物の要求は、年々エスカレートしていく。
その事に対し、不服があれば、アイルランド最強の武人、モルオルトとの果たし合いによる決着をつけようとの申し出がアイルランド側からあり、トリスタンが決闘の名乗りを挙げる。

死闘の末、トリスタンはモルオルトに討ち勝ち国の名誉と利益を守った。
しかし、モルオルトの剣の猛毒により瀕死の重傷に苦しむ事になる。
この傷を治す秘薬を持つのは、あろうことかモルオルトの妹であるアイルランドの王妃ただ一人であった。

かくしてトリスタンは正体を伏せてアイルランド王妃のもとを訪れ、療養の日々を送る。
そこで、モルオルトの姪であるアイルランドの王女、金髪のイゾルデと運命的に出会った。

すっかり回復したトリスタンはコーンウォールに戻る。
コーンウォールではトリスタンを自分の跡継ぎにしようとしている事を良く思わない側近達がいた。
彼らはある策を講じた。
宿敵アイルランドとの平和交渉も含めてマルク王にイゾルデとの結婚を勧め、その縁談の使者としてトリスタンを遣わそうとした。

マルク王は溺愛しているトリスタンを敵地に遣わすことに反対したが、トリスタンは反対を押し切りこの役目を引き受けた。
イゾルデは叔父を殺したトリスタンを殺意を抱くほど憎んでいたが、彼の巧みな話術と人徳で最後には縁談を取りまとめる。

異国の地に嫁ぐ愛娘のために王妃は、媚薬を作った。
その媚薬とは、一緒に飲んだ男女が永遠の愛を約束され、死して後も離れることなく、喜びも悲しみも共に分ち合うという魔法の秘薬であった。
王妃は侍女にこれを持たせマルク王とイゾルデに婚礼の夜、密かにワインと共に飲ませるよう指示した。

トリスタンとイゾルデの一行はコーンウォールに向かう航海に出る。
航海の途中のどの渇きに苛まれ、侍女は二人に秘薬を飲ませてしまう。
マルク王とイゾルデの婚礼の後も、トリスタンとイゾルデの二人はお互いに激しく愛し合い、逢引を重ねてしまう。

しかし、やがて王の耳に二人の噂が入るようになった。
王の逆鱗に触れた二人は、処刑を言い渡される。
処刑台に立たされる直前に必死の覚悟で脱出したトリスタンは、乞食たちに引き渡されたイゾルデを救い出し二人の逃避行が始まった。

二人はモロアの森の中で数年を過ごすことになる。
森の中での暮らしもやがてマルク王の知るところとなり、二人は隠者オグランに王との和解の仲裁を依頼する。
トリスタンの国外追放という条件の下でイゾルデは再び宮廷に迎え入れられる。

悲しみの苦悩から逃れるために諸国を遍歴した後、トリスタンはフランスのパルメーニエでカエルダン王子の妹と結婚することになった。
彼女の名前も偶然にも「白い手のイゾルデ」と言った。
トリスタンは、白い手のイゾルデと暮らしながらも決して忘れる事のできない「金髪のイゾルデ」との接触を幾度か計る。

ある時は巡礼者に、ある時は道化に姿を変えコーンウォールに渡る。
しかし、二人は過酷な運命によりわずかな時間しか接する事しかできずに引き離される。

ある時、トリスタンは盟友カエルダンと騎士エスタルトを討つ戦いで敵の罠に落ち死闘に巻き込まれる。
命からがら戦いから戻ったトリスタンは、誰も治す事のできない重傷を負ってしまう。
容態は日増しに悪くなり、自分の死期を悟ったトリスタンはカエルダンを呼び全てを打ち明け、自分の船を使い金髪のイゾルデを連れてくるように懇願する。
そして、自分の船が港に戻る時イゾルデが一緒に来てくれたなら白い帆を、来なかった時には黒い帆を掲げてくれるように指示する。

カエルダンは承諾した。
が、それを白い手のイゾルデが壁越しに聞いてしまっていた。

カエルダンは商人に変装し金髪のイゾルデを連れて帰り白い帆を掲げ入港した。
衰弱したトリスタンは自ら港へ出かけることも、窓から帆を確認する事さえもできずにいた。
トリスタンは、妻に帆の色を尋ね妻は「私のしかと見た色は、まっ黒い帆だと、思し召ませ。」
トリスタンは生涯において感じた事のない痛みを感じ、「イゾルデ」と四回叫んで事切れた。

陸へ上がった金髪のイゾルデは鳴り渡る忌鐘を聞き城へと急いだ。
トリスタンの部屋へ飛び込み、遺体にすがって泣いている白い手のイゾルデに向かって言った。
「奥方様、そこをお退きあそばして、私に近寄らせてくださいませ。あなたさまより私こそ、この方の死を悼む権利があると思し召せ!私はもっともっとこの方をお慕い申しておりました。」

金髪のイゾルデはひざまづきトリスタンを両腕に抱きしめた。
トリスタンの目に、頬に、唇に、接吻の雨を降らせ、そして抱きしめた。強く強く抱きしめた。
彼女の魂がトリスタンの魂と一つになるまで抱きしめ、そのまま息を引き取った。

マルク王は恋人達の死を知ると二人のためにそれぞれの死棺を作り二つの墓を作った。
夜になるとトリスタンの墓からは、一本の濃い緑色の葉の茂った花かおるいばらが萌え出で、御堂のうえに這い上がりイゾルデの墓の中にのびていった。
人々はそれを断ち切ったが翌日になると同じ色濃い勢いの強い新芽がのびて、イゾルデの墓にはっていく。

マルク王はその枝を二度と断ち切ることを禁じた。

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